ナオ（女性20才）はバレエダンサーの養成所に通うフリーターである。 　　　　　　　　　　愛するバレエを一生踊り続けて生きて行けたなら・・・ナオは日頃から 　　　　　　　　　　そう夢想している一方で、自分の才能・実力には自信がなく、このまま 　　　　　　　　　　夢を追い続けて行くべきかどうかにも思いが及ぶ。 　　　　　　　　　　その日彼女はアルバイトを終えてバレエ教室へと急いでいる。バレエ団　　 　　　　　　　　　　の入団テストがあるからだ。 　　　　　　　　　　このバレエ教室には親密な関係にある男性講師ケンジ（35才）がいる。 　　　　　　　　　　家庭を持つケンジとの関係にも疑問を感じ始めているナオ。 　　　　　　　　　　純粋の故に、人生はさらに過酷である。 　　　　　　　　　　ケンジが見守る中、ナオは踊る。が、履き古したシューズのリボンが切れ、　　　　　　　 　　　　　　　　　　転倒してしまう。にもかかわらず一次選考に残ったナオは、ケンジの口利 　　　　　　　　　　きがあったことを疑い、二人の間に微妙な感情が行き交う。 　　　　　　　　　　帰り道、そんなナオの前に現れたものは、彼女の魂の暗く深い闇の底で紡　　　　 　　　　　　　　　　がれたような、一足の美しい靴であった。 　　　　　　　　　　ただ立ちつくすしかない現実から、ナオは新しい一歩を踏み出すことがで 　　　　　　　　　　きるのだろうか・・・？

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