| ラストアウトローという映画 |
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ラストアウトローという映画がある。 ミッキーローク演じる南軍の元兵士が妻子を戦争で失い、冷酷無比な男となって強盗 団を率いている。 彼の正確な判断でグループは何度となく窮地を脱するが別に彼は仲間を守っているわ けではない。 やがて仲間達は彼に疑念を抱くが、そんな事はどうでもいい。もとから友情もなけれ ば愛情もない。 それは彼だけに限らない。みんな同じだ。 守れなかった妻子を守りながら彼は生きている。 自分が亡霊を守ろうとしているのはわかっているのだ。でもそうするしかないじゃな いか？ 亡霊だとしても俺は妻や子供が守りたいんだ。それ意外に何がある。自殺するか？し かし死ねるか？家族さえ守れなかった俺が死んで楽になれるか？そんな事が許される か？許されないんだ。どんなに辛くてもな。 死に場所を求める彼に死に場所はない。化物と化した彼を殺せる人間は何処にもいな い。 いるとしたら彼が許せる人間だけである。 愛する者を命がけで守れる人間。自分が失った人の心を本当に持っている人間。 そんな若者が彼の仲間にいた。 いるのは最初からわかっている。ただまだ青臭いのだ。俺の苦しみはそんなものじゃ ない。そんな甘ちょろいこといっているから俺のような人間が産まれてくるのだ。愛 する者を守ってやれないのだ。 彼は若者を試すかのように次から次へと彼の肩に乗った苦しみを若者に投げつける。 若者は苦しむがやがて乗り越え彼と対峙する。 “やはりあなたは間違っている“ 若者は彼とは違う。彼のように甘っちょろくはない。それはわかっていたんだ。若者 はいつだって経験がないぶん強い。だがそれを育ててたのは自分より弱い間違ってい る大人なんだ。 しかし間違いに純粋な若者は彼を撃つ。 彼はやっとのことで自分の育てた若者に撃たれる。 撃たれながら将来若者に来るであろう不安と苦悩を心配気にみている。 若者はすっきりしない。正しい事をしたはずなのになぜか悲しいのだ。 もう若者の大人への階段は始まっている．．．．
この映画を見てぼくはふと思った。
北原恵 1999.2.20 |